埼玉県健康管理士会 会員 大嶌 悠美生

平成24年2月15日に中央ふれあい館にて講演をしました。埼玉県健康管理士会より高橋顧問はじめ8名の皆さんにも出席していただきました。
口腔ケア=口のなかを清潔に保つためにはどうするかのお話をさせていただきました。その主な内容を記したいと思います。
100歳長寿を実現するためには、何よりも体が健康であること。そして健康な体を維持するためには「口腔の健康」にあるということです。

Ⅰ.人間の歯は何本?

  1. 皆さんに質問をしましたが意外と認識してない人が多かったようです。本来は32本ですが近年顎が小さくなってきたようで、親不知を抜歯するケースが多くて28本の人がほとんどのようです。8020運動(80歳で自分の歯を20本残すという意味)。自分の歯で噛むことの大切さ。

Ⅱ.歯を失う二大原因・・・虫歯と歯周病

  1. 虫歯(う蝕):虫歯菌は糖と結びつき、乳酸という酸性物質を作り出す。その乳酸によって、歯からカルシウムが抜け出し、溶けていくこれを脱灰(だっかい)といいます。
  2. 歯周病:歯周病の最大の原因は「プラーク(歯垢)」です。プラークはただの食べかすだけではなく細菌の塊です。
  3. 歯肉炎→歯ぐきが腫れたり、出血するといった自覚症状や口臭がある。
  4. 歯周炎→炎症が歯周組織まで及ぶ。歯槽骨が炎症を起こすと、膿がたまり、歯槽骨がだんだん溶けてくる。=歯槽膿漏
  5. 歯周病菌:歯と歯ぐき(歯肉)の間の歯周ポケット(歯肉溝)に入り込み炎症を起こします。50歳以上では約8割の人が歯周病菌もっているといわれています。・歯周病がかかわる病気
  6. 呼吸器や肺の病気 ・動脈硬化の進行 ・脳梗塞のリスクを高める ・糖尿病の悪化・感染性心内膜症 ・骨粗しょう症 ・低体重児早産など。歯周病の脅威は口の中だけにはとどまらない。

Ⅲ.喫煙者は歯周病になりやすい

    たばこのヤニにより、歯垢が付着しやすくなる。歯周病に対する抵抗力を低下させる。歯周の炎症が治りにくくなるなど。喫煙しない人に比べて2~5倍近く歯周病になりやすい。

Ⅳ.歯垢や歯石を取り除くワケ

    歯周病は歯垢で繁殖する。歯垢をそのままにしていると、数ヶ月で歯石になってしまう。人によっては2週間ぐらいで歯石になってしまう。歯周ポケットに歯石があると、歯と歯肉が密着しにくくなり、そこに新たな歯垢がたまっていく。

Ⅴ.高齢者の口腔ケア

    口腔ケアするには ①口の中を清潔に保つこと ②歯垢が付かないようにする ③ブラッシングや舌磨きを行う ④食後は入れ歯を洗う ⑤入れ歯をしたまま寝ない ⑥定期的に歯科医院へ行き歯の検査とメンテナンスを受けること。

Ⅵ.歯周病のチェックリスト

    チェックリスト12項目の用紙を配布して個々にチェックしていただく、チェック項目のなかで一つでもあれば歯周病の疑いが考えられますので、歯科医院行くことをすすめる。

Ⅶ.歯の磨き方

    つまようじ法で磨く・・・歯ブラシの毛先を歯と歯の間に差し込むようにして磨く方法。1日1回7~8分の時間で丁寧に、それも夜寝る前に行うのがよい。歯垢が再びできるまでには24時間かかることが分かったからです。歯ブラシ(毛が少ない・毛が長い・ヘッドの部分が小さい)、歯間ブラシ、デンタルフロス、舌ブラシを使用する。

Ⅷ.歯周病の予防改善には

  1. 歯ごたえのあるものを食べる習慣をつける。
  2. 食後に緑茶を飲む(カテキン:抗菌作用)。
  3. よく噛む習慣をつける(唾液の分泌・脳内の血流量が増加)。30回噛むこと。

Ⅸ.口腔の老化を予防するには

    運動(有酸素運動) ・会話(認知症予防・口輪筋も鍛えられる) ・笑う(表情筋が鍛えられる)

Ⅹ.くちびる体操・・・口輪筋を鍛える、その方法は

  1. くちびるを閉じたまま、上の歯と下の歯の間から舌を出す。
  2. その状態で、舌の表面で上の2本の歯をなめるようにあてる。
  3. 舌を歯にあてたまま時計回りに10回、回転させる。
  4. 同様に舌を反時計回りに10回繰り返す。

皆さんと一緒に行いました。

自分の歯で、美味しく食べて、おしゃべりし、体を動かして、元気で長生き!をしましょうということで終わりました。
(参考資料:100歳まで元気の秘密は「口腔の健康」にあった! 齋藤道雄 ㈱青春出版社)