講演者:本間 香 会員

9月19日(水)「川口市中央ふれあい館」にて表題のテーで講演をしました。

2日前が「敬老の日」でしたので、始めにそれにまつわる話題として、遂に100歳以上が5万人を超え、65歳以上も3000万人以上となり、いよいよ超高齢化社会へと加速した感が拡がったこと。そして敬老の日に因んだ話しを2、3しました。
加齢による体の変化 加齢とは?老化とは?

私達は、誰もが誕生日毎に平等に歳を重ねていく。それが加齢であり、高齢期になるとその加齢による様々な機能低下が起こってきます。この機能低下を一般的に老化現象といい、その老化度は人によって差があります。
実年齢が同じでも若く見える人、老けて見える人がいるように、年齢が進むほどその差は開いていきます。
老化を遅らせるには・・・
まず、100歳以上の長寿者の健康度の調査結果を参考に話していきました。
寝たきりや介護を受けている方が多い中、100寿者といわれるお元気で自立している方でも、何らかの慢性疾患を抱えている。が、それらと上手く付き合い、一病、2病息災でバランスよく歳を重ねていることがわかります。

そこで、老化の兆候の現われやすい6つのチェックポイントを挙げ、一つずつ説明していきました。

1:精神神経年齢は?
2:血管年齢は?
3:骨、関節年齢は?
4:腸年齢は?
5:筋力、体力年齢は?
6:肌年齢は?

特に「骨、血管、筋肉」の老化は全身のダメージを受けやすいので、こまめにチェクし、早めのメンテナンスを心掛けることが大切です。そして少しずつ低下する機能とうまく付き合いながら、バランスよく歳を重ねていくことができれば、天寿を全うする可能性が高くなる、と話しました。
老化が早いか遅いかは体の栄養状態がカギになる。高齢者の健康長寿の実現のため、長期にわたり調査研究をしている熊谷修博士が著書(*)の中で次のように書いています。「高齢者の生活の自立度は・歩行・排泄・食事・入浴・脱ぎ着の5要素ができるか、できないかにすべきで、この基本的な生活機能が体の衰えを知る指標になる。更に高齢者がイキイキと生きるためには、①手段的自立②知的能動性③社会的役割の3つの能力が大切であり、これらの能力を維持できるかどうかは体の栄養状態がカギになってくる。特にタンパク質の血清アルブミン値が高いか低いかが大きく左右する・・・」 とあります。
そこで、「血清アルブミン」とは、血液中を流れるタンパク質の約60パーセントを占め、体の再生、修復に欠かせないタンパク質であることを説明し、実際に高齢者の低栄養が老化を早めているいくつかの具体的な例を挙げ、説明していきました。

ここで一息入れ、軽い運動をしました。

高齢期に多い転倒・骨折はバランス感覚や下半身の筋力の低下によるものが大きい。そこで、予防するための運動として ・関節を柔らかくする運動 ・正しい姿勢のチェックと開眼片脚立ち ・スクワット などを会場の空きスペ-スで行いました。
「鉄道唱歌」の替え歌を中腰で腕を振りながら歌うなど、少々きつい運動でしたが和やかに楽しんでくださったようです。

老化を遅らせるバランスのよい食生活について始めに、からだの構成成分(皮膚、内臓、筋肉、骨、髪の毛、爪・・・)であるタンパク質は、老化を左右する血清アルブミン値を上げるためにしっかり摂ることが大切であることを強調しました。一日に摂りたいタンパク質は男性約70g、女性約60g位。そして食べ物では目安として一日で・肉70~100g ・魚介類70~100g・牛乳200cc ・卵1個 ・豆腐2分の1丁程度(大豆製品)位を参考にしましょう、高齢者も肉と魚介類は1:1の割合で摂ると効率よくアルブミン値をあげることができる、と説明しました。そして6大栄養素はどれも欠くことのできない大切な栄養素であることを話し、こ、ま、ご、た、ち、わ、や、さ、し、い、こ、に をみんなで唱和しました。さまざまな食材をバランスよく摂ることの大切さも分かってもらえたのではないでしょうか。

どれくらい食べたらいい? 食べ方は? 一日に摂取したいエネルギー量は?目安として適正体重に活動係数(25~35)をかけて計算して出して見ました。また実物食材をすべて80kcalにした以下の食材も用意し、エネルギーの違いを実感してもらいました。
卵1個(50g)、ごはん(50g)、バナナ(皮なし)1本(100g)、じゃがいも1個(100g)、緑黄色野菜(350g)、おまんじゅう1個(30g)。・・・「緑黄色野菜350gと小さなおまんじゅう1個が同じカロリー?」と、驚きの声が上がりました。

そして
・欠食はよくないこと
・食べる順番は副菜→主菜→主食にするとよいこと
・会食で楽しい食卓を囲みましょう

・・・などを話して食べる話を終了させました。

みんなで詩の朗読を楽しみました。

「楽しいこと、たくさんありますか。今が一番若い時です。精一杯生きましょう!」と話し、最後に、『よかった』という詩を、皆さんで黙読、音読、朗読の手順で読んでもらい、聞かせたい人をイメージしてから、もう一度精一杯心をこめて朗読をしてもらいました。楽しんでいただけたのではないかと思います。

*熊谷 修氏について:人間総合科学大学教授、学術博士 著書「ピンピンコロリの栄養学」より引用