講演者:本間 香 会員

12月18日(火)川口市戸塚西公民館にて表題のテーマで講演をしました。

2日前に総選挙が終わり、また新しく船出した日本丸は高齢化社会をなんとかしてくれるのでしょうか。政治に期待をしたいところですが、私達はできる限り、自助努力をしていくことが基本。特に自分の健康は自分で守る、という意識が大切ですと前置きし、高齢期では、加齢と共に起こるさまざまな機能低下、それを老化現象といっていますが、それらを早めに察知し、大事にいたらないよう早めはやめのメンテナンスをしていくことが大切です。と話していきました。

まず、老化の兆候の現われやすいチェックポイントを見てみましょう。脳の精神神経は、血管は、骨、関節は、腸は、筋力、体力は、この中のどこかに弱点を作ってしまうとそこから老化を早め、要介護へと進みやすくしてしまいます。これらの低下はどれも要介護の大きな要因になっています。老化が早いか遅いかは体の栄養状態に左右される。「東京都老人総合研究所」が高齢者の健康長寿について、長期にわたり実態調査をしています。それによるとお元気でイキイキと活動している高齢者ほど体の栄養状態が良い、ということが分かります。また反面、低栄養状態の高齢者も多く、それが老化を加速させている現状もわかりました。それには、いくつかの要因がありますが、五感の変化や口腔の不具合が食欲低下を招き、食事量が減ることで、必要な栄養素が不足してしまうケースが多いようです。

他にも骨粗鬆症、腰痛、膝痛、ストレス、認知症、ガンなどがあり、すべてに効果的なのがウォーキングです。ウォーキングをして筋肉量を増やすことが生活習慣病の予防に大切なので、筋肉の役割について説明しました。
・五感(・視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)の変化について・・・見る、嗅ぐ、聴く、触れるという感覚が総合して食べたいという食欲を味覚と共に支えている。低下しやすいこれらの5感に対しては早めのメンテナンスと料理の工夫(よりカラフルに、香菜の利用、熱いもの、冷たい物の温度管理、食感など)をして、食べる楽しみを維持していくことが大切です。と話しました。
・口腔内ケアについて・・・まず、虫歯菌、歯周病菌について説明をしました。歯の磨き方、歯垢の除去の仕方などを実際のブラシを用いて説明をしてみました。(歯ブラシの選び方、当て方、歯間ブラシの使用、舌の洗浄ブラッシングなど)また罹りつけ歯科医の定期的な受診をすることでより完璧なケアになり、食生活の窓口である口の健康はからだ全体の健康につながるものでもあります。と結び、一息入れて軽い運動をしました。
高齢期に多い転倒・骨折予防に・関節のしなやか運動 ・正しい姿勢のチェックと開眼片脚立ちを取り入れてみましたが、高齢者の良い姿勢の維持は難しく、バランス立ちも、1分がきつい人が意外に多いということに気づかされました。
老化を遅らせる食生活とはまず、からだの構成成分(皮膚、内臓、筋肉、骨、血管、髪の毛、つめ・・・)であるタンパク質の大切さを話し、その指標になる「血清アルブミン」の説明をしました。
血清アルブミン 分子構造
「血清アルブミン」とは、血中を流れるタンパク質の60%を占め、細胞の再生、修復に欠かせない成分であること、減少すると老化を早める要因にもなりうることを強調しました。また、健康診断で「血清アルブミン値」を計ってもらうことを薦め、その数値を4・3g/dL以上にする食事について、資料(必須アミノ酸1覧)を使って説明をしていきました。1日に摂りたいタンパク質は男性70g、女性60g位とし、また1日に摂取したい食品の目安を示し、肉類と魚介類は1:1にすると効率よくアルブミン値をあげることができることと、さまざまな食品をバランスよく摂ることも強調し、こ、ま、ご、た、ち、わ、や、さ、し、い、こ、に、を皆さんで唱和して6大栄養素の大切さもしっかり伝えました。
1日に摂取したいエネルギー量は目安として、適正体重に活動係数(25~30)をかけて摂取するエネルギー量を計算し、食べ過ぎに注意するよう促しました。

また、前回の講演時と同じように80Kcalの食材を実際に見て、手にしてもらい、そのエネルギーの違いを実感してもらいました。(80kcal=卵1個50g、ご飯50g、バナナ100g、ジャガイモ100g、緑黄色野菜350g、饅頭30g)ここでも、350gの野菜と饅頭1個が同じ80kcalであることにリアクションがありました。
そして、欠食がよくないこと、食べる順番を副菜→主菜→主食にした方が血糖値をコントロールできること、個食(孤食)を避け、食べることを楽しめるような食卓の演出を工夫しましょう、と結び、今日の講演のポイントをもう一度復誦しました。

最後に、高橋 義一氏作詞の「ビタミン類を食べよう!」の歌を皆さんで歌い、河野進氏作「よかった」という詩を心情を込めて読んでもらいました。介護をする側、される側になったとき、思い出して優しい気持ちになっていただけたら嬉しい、と結びました。