講演者:本間 香 会員

川口市中央ふれあい館にて「高齢期の口腔ケアと食事」を中心に講演をしました。厳寒の折でしょうか、参加者が少なめでしたので、アットホームな対話形式で進めて行くことにしました。高齢期になると体にはさまざまな変化がおこってきます。その変化は楽しいはずの食生活にも例えば、胃がもたれる。おいしさを感じにくくなった。噛みにくい、飲み込みに不安が・・・などという形で現れてきて、気づかない内に低栄養に陥っていたりします。健康長寿のために、いつまでもおいしく楽しい食生活ができるよう、口の周りや口腔ケアをしっかり心がけていきましょう。
五感と食欲について食欲は、五感 (視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚)の総力で感じとる楽しむ食事の最も大切なものです。低下するそれぞれの感覚をケアと工夫で食欲を刺激するヒントを話しました。
口腔内の不具合いについて歯を失う原因は虫歯と歯周病です。口の中には300種以上数億の細菌が存在し、それが歯垢(プラーク)となり、虫歯や歯周病の原因になります。その予防と対策について、歯と歯茎の境界を磨くF・B・I方式を擬似レッスンしました。更に、かかりつけ歯科医の定期的なチェック(3~6ヶ月に一度)をして、初めて完璧なケアといえます。
「加齢とのつき合い方」
自分の歯を20本以上残している人とまったくない人とのQOLは10倍もの差があるともいわれ、歯周病は、その菌が血液を介して糖尿病や動脈硬化、心臓、脳血管疾患、肺炎など、全身に影響を及ぼすことを認識してもらいました。唾液の分泌と咀嚼について唾液の働きはたくさんあります。主な働きについて具体的に話した中でも、唾液の抗菌や洗浄、嚥下作用などは命にもかかわるほど重要な働きであること。また唾液が歯垢を洗い流し、歯の酸化を中和し、唾液の中のリン酸やカルシウムによる再石灰化で虫歯予防をする働きについての話には、かなりの関心を示しました。よく噛むことは、全身の健康に影響する、ということを分かりやすく頭文字〈ひ・み・こ・の・は・が・い~・ぜ〉を使って説明し、納得してもらうことができたようです。

元気で長生きのための食生活は?
高齢者が低栄養になると免疫力が落ち、感染症や筋力の衰えから老化を早めてしまいます。体の構成成分であるタンパク質を中心としたバランスのよい食生活が老化を遅らせるカギになります。血液中のアルブミン値はそのタンパク質の指標になるので健診で調べて確認してみることを勧めました。資料「アミノ酸スコア100の食品例」と「元気で長生きのための食生活15条」(ほすぴより)を使って老化予防の食生活の在り方を詳しく解説していきました。
貯筋のすすめ
運動をし続けることで、何歳からでも筋力を蓄えることができます。こまめに、いつでも、どこでもできる、ながら運動を勧めました。会場では①椅子を使って腹筋 ②片足立ち(ダイナミックフラミンゴ運動) ③スクワット、を行いましたが、90代の常連さんの一緒になって頑張る姿には元気と勇気をいただきました。
最後に・・・
人生の終盤に子や孫たちに読んで聞かせたい詩、「手紙~親愛なる子供たちへ~」 を朗読させていただき、終わりとしました。