講演者:篠原由紀子 会員

民話の語り。きいたことのあるひとも、ないひとも、ちょっと頑張りすぎて、疲れちゃったひとも、むかしむかしのはなしをきいて、ほっこりしませんか。心に休養と栄養をとって、明日の元気を蓄えましょう。ということで、11月15日の古唱会で、民話の語り4話と心の健康についてお話しました。

民話とは、人々の生活の中から生まれたものであり、口伝えで語り継がれてきたものです。主に、昔話と伝説の二つがあり、その他に、面白話や世間話、お伽話等があります。昔話は、方々を飛び歩いて、あちこちで同じ形のものを見かけることがあり、語り始め (昔々あるところに…等)と語り終わり(めでたしめでたし、とっぴんぱらりのぷう…等)に決まった形があります。伝説は、その土地に根差していて、目に見えるものについて語られ、その謂れを説明していて、決まった形はなく、常に成長しています。
一昔前は、夜なべ仕事をしている両親に代わって、子供を寝かしつけるときに爺さん婆さんが昔話をしたものです…が今では、そんな経験のない人がほとんどです。

民話 心の健康

民話語り 「雷さんお月さんお日さん」、「舟戸の阿弥陀さん」

ここで、心の健康について考えてみましょう。
身体のと同じく、心の健康にも好、不調の波があります。何らかの心の不調を経験することは、決して珍しいことではありません。たいていは、抱えている問題に対する不安や不眠、イライラ、抑うつ気分等ですが、精神科の専門治療を要する場合や入院することもあります。また、大きな災害等による精神的な不調、PTSD(心的外傷後遺症)は、全く珍しくないことです。身体の調子が悪くて、いろいろ検査しても異常なしといわれるとき、それは心の不調が原因かもしれません。
うつ病は心の病気の代表的なものです。WHOによれば、世界人口の3~5%が、うつ病の状態であるとも言われています。自殺の最も重要な要因と言われていることから、早期に発見し、適切に治療することが必要です。
心が疲れてしまったときは、休養が必要です。何もしないでごろ寝するばかりでは、真の休養になりません。リラックスしたり、自分を見つめ直す、自分のための時間を作ること。長い休暇を積極的にとって、家族の関係や心身の調整をして、将来への準備をする。余暇は、趣味やスポーツ、ボランティア等で積極的に過ごす。このような、積極的休養をとりましょう。
心の健康なくして、健康長寿は実現できません。そのためには、人と人のつながり、すなわち絆を大切にすること。そして自分自身を大切にすること。ボランティアをしたり、生涯現役の生き方や暮らし方で、生き甲斐を持つことが大切です。

民話語り 「ちっちゃこい神様」、「面玉落とした医者さま」