講演者:新田和雄 会員

12月17日(水)に川口市ふれあい館で健康診断パートⅡとしてがん検診をテーマに講演をさせていただきました。冒頭に臨床検査の仕事から健康診断に関わる仕事をさせていただいた経験から「調べることは、調べた結果に対して対応ができなければ調べる意義がない」という考え方から健康診断を受診するにあたり目的をもって受診していただくことを伝えたいというのが私の講演目的とお伝えしました。

前回は、「健診」健康を診るとの観点から一般的な健康診断で、特に2008年から始まった特定健康診査について講演しましたが、今回は、「検診」の観点からがん検診について話をさせていただくことで、受診(検査をする)の目的について考えていただけると考えました。
がん検診については、自治体が担われている項目に限定して検査方法やその結果が持っている意味合いを中心に話しました。

胃がんについては、上部消化管X線検査(バリウム検査)が一般的に行われており、X線を透さない造影剤のバリウムを飲んでX線をあてて胃の形状を観る検査になるため受診前はなるべく胃の中に内容物が無い状態にするため当日の食事を控えて受診する必要があることや検査後にバリウムを排泄するために下剤を服用する必要が有り検査を受けるためのリスクを説明しました。

肺がん検査については、胃と同様に胸部のX線検査で行われており最近は、CT検査での実施も可能だが、被曝量とコストの観点からX線の単純撮影が一般的に行われている。Close-up of male hands filling in medical form

乳がん検査も同様にマンモグラフィーで、これもX線を使った方法で影像を観る事で乳房内部に異常の有無を検査する。この場合、1方向と2方向と撮影方法が異なることで金額が変わることや若い人の場合乳腺が発達しているために影像の判断がつきにくい場合があるので、40歳以下の若い人の場合は、超音波検査で検査する健診機関があることを伝えました。

子宮がん検査については、細胞診の検査方法についての説明に加え対象者が20歳以上で若年層にも検査の意義があることや自治体が20歳から5歳ごと40歳まで無料のクーポン券を発行しているので、ご家族に伝えていただくことをお願いしました。

最後に大腸がん検診について検査方法は便に血液が含まれているかを調べることで便に血液が含まれているということは下部消化管の大腸のどこかで出血しているということで、その要因がポリープの可能性があるということを説明しました。

胃がん、肺がん、乳がん、子宮がんは、いずれも影像を使って行われており血圧測定や血液検査のように数値結果で比較して判断するのでなく、影像により異常を見つけるということからがん検診の「検診」は、病気を見つける為の検査になることを理解していただけたと考えます。

尚、がん検診は、画像を使った検査になるが確定ではないので、精密検査を受けてくださいとの結果が出た場合は、必ず精密検査を受けていただくことが必要になることをしっかりと説明して講演を終わりました。

講演後、ふれあい館様から講演中携帯電話が鳴ったとの聴講者から報告がされましたので、講演の冒頭に「携帯電話をマナーモードにしていただくこと」をお願いしてくださいとの注意がありました。