講演者:篠原由紀子 会員

(10月21日中央ふれあい館)
Fotolia_49699715_XS民話は主に昔話と伝説に分けられます。昔話は固有名詞がなく、時、場所、人が曖昧で、描写を最小限に留め、語りはじめと語り終わりに決まった形があります。信じられない話だけれど、何時でも何処でも誰でも、容易に我が身に置き換えて想像の世界を体験することが出来ます。また終わりの言葉でスッと現実世界に戻ることができます。娯楽があまりなかった時代には大人も子供も一緒に楽しめる娯楽でもありました。昔話には、ありとあらゆる社会現象が出てきます。様々な語りを聞くことで、どのように考えるべきか、どのように行動すべきかを、子供達に気付かせたり、我が身を省みるひと時にもなります。あふれんばかりの情報とストレス社会の中で、ちょっと疲れてしまった時など、民話語りを聞いて、ほっこりとした気分を味わってみてください。語り手と聞き手の双方向のコミュニケーションによって緩やかな絆が生まれ、ほっこりとした気分になります。

民話語り 「鶴と亀」「つるかめ」この二つの原話は同じ昔話。

伝説 「子育て幽霊」
民話には、人々の願いが込められています。今や日本は世界一の長寿国ですが、少し前までは乳幼児の頃の死亡率がとても高く、衛生管理や栄養が不十分な状態でお産して、子供はおろか母親も共に亡くなることも珍しくはありませんでした。江戸時代後期は天然痘が死因第一位でしたが、うち69%が乳幼児でした。人々は、安産と子供の健やかな成長を願って子育て幽霊を語り、病気平癒を願いながら(病が軽く飛び去って、いなくなり、去っていくように、キジとイヌとサルを味方にして)桃太郎を病床の子供たちに語り聞かせたことでしょう。

民話語り 「舌切り雀」
さて、心の健康について考えてみましょう。毎日愉快でウキウキしながら過ごしたいけど、現実はなかなかそうはいきません。友達と気まずくなったり、親や兄弟と喧嘩してしまったり。様々なストレスから、いらいらして怒りっぽくなったり、気分が落ち込んで元気がなくなったりするのは、ごく自然なことです。しかし、こうした辛さがいつまでも消えずに、心の中に留まって、体の調子まで悪くなって来ることがあります。そんなときは、心の病気である可能性を考えてみましょう。心の病気はめずらしいことではありません。心や体の不調に気づいたとき、辛い状態が長く続くときは、心がSOSを出していると考え、一人で我慢しないで、友人や家族に話したり、専門家に相談してみましょう。各地の保健センターや「埼玉こころの電話」への電話相談、埼玉県の精神保健福祉センターでは、メールによる相談も受付ています。
心と体はつながっています。心が疲れたときは、無理をしないで休養をとりましょう。単にごろ寝をして過ごすよりも、一日の中で短時間でも、リラックスしたり自分を見つめたりする、自分のための時間作りが大切です。趣味やスポーツ、ボランティア等で余暇を積極的に過ごしたり、長期休暇を積極的にとり、自然に親しみ、家族の関係や心身を調整して、将来への準備をする、といった積極的休養をとることが必要です。また、笑いは万病を遠ざけるといいます。自分の失敗も笑いとばすことで、ストレスを軽くすることができます。
民話語り 「目ん玉落とした医者様」 「雷さんお月さんお日さん」