講演者:田村欣也 会員

講演は同じ内容の話をする場合でも長さによって微妙に変わるものですね。「おいし水とは味覚が発達する子供の頃に飲んだ水―慣れ親しんだ水ですね。水の美味しさを思い出して、朝起きたらコップ1杯の水を飲む習慣をぜひ付けてください。無理に沢山飲む必要はありませんが、水があまり得意でない方は今より1~2杯多く飲んで下さい。寝ていても水分は出て行きますし、のどの渇きは感じ方が遅いので、早めに少しずつ飲んで下さい」と話し始めました。

同じ演題で話す場合も9月は80分、先月の“大”講演会は10分、今回は60分と長さが違いますし、会場も違います。ですから、話の順序や例えを含めた表現も変わります。

今回は話す内容を模造紙に縦に7行書いたものを2枚用意しました。私はパワーポイントを使えないので稲田さんの助言で模造紙に話の要旨を書いたのです。1枚目は「水の飲み方」―右から“起きたら一杯。何かする前に(1杯)。不感蒸発1ℓ。乾きは鈍感。そして一番左の2行はいつも紹介する「水は早めに、こまめに、一回ひと口」の標語でした。1行の字数が6文字と少なく「言葉足らず」になったかもしれません。2枚目は「お風呂の入り方」の注意事項で、“寝る一時間前に。脱衣所は暖かく。湯は温め。長湯はしない。家人に声かけ。ゆっくり上がる”など7行です。家で見た時は大きな字で精いっぱいきれいな文字を書いたつもりでしたが、広い会場ではまだ字が小さく、たたんでおいた模造紙の折り目がついたままだったりで、後ろの方は見づらかったかもしれません。実は稲田さんの助言は模造紙ではなく障子紙だったのですが、私が間違って覚えていたのです。障子紙ならたたんでも折り目は付かないのだそうです。レジュメはぎっしりにならないように気をつけながら肝心な事だけ書き込みました。そして話をしながら「これはレジュメに書いてあります」と言い添えました。

講演は実に難しいものです。時間の長さだけでなく、お見えになっている方の様子も会場によってそれぞれ違いますし、今回のようにこすごく冷え込んだりしますと、あらかじめ考えてきた“話の入り方”が変わってきます。朝1杯の水について話す時に、たんに「水」と言う表現ではなく、「白湯」が宜しいですね-となり、「おいしい水の温度は13度くらいと70度くらいです」と予定になかった話を付け加えました。また、会が始まる前に顔見知りのご婦人と話してみて、頻尿の人について“家でトイレに行く時間を少し我慢してみると間隔が空くようになり、お出かけなどが楽になりますね”と言う話はやめにしました。なるべく早めに会場に行き皆さんと会話をするようにしています。講演は難しいですね。今回の講演も大いに勉強になりました。

西老人会 11月2日