投稿 上原道康会員 「思い込みの怖さ」

故事ことわざの一つに、「男女七歳にして席を同じゅうせず」があります。「七歳になったら教室などで席を隣り合わせにするのはあまり感心しない」というように理解されていることが多いようです。本来の意味の「席」は椅子などを表しているのではなく、「むしろ」とか「ござ」の意味です。7歳になったら男女は同じ1枚のござの上に座ってはいけない、と言う儒教の道徳観です。
本来儒教が伝えたかった意味が長きにわたって誤った解釈をされ、いつの間にか本来の意味と異なったことが正しくなっている、という見本と言えないでしょうか。

先日熊谷市で講演をした時の体験です。休憩時間中に年配の女性が演台に来て「コンビニなどの弁当は安全と言われましたが、別の講演会では講師が、コンビニの弁当などを食べ続けると防腐剤がいっぱい使われているために事故で亡くなった時でも遺体が腐敗しない、と聴きました。本当のところはどうなのでしょうか?」と真剣に質問をしてきました。
「防腐剤と言う食品添加物は存在しません。使ってあっても保存料で、その実態はご家庭で使う食塩やお酢などから作られています。いわんや遺体が腐らないなど100%あり得ません。そういったことを言っている講師に、私がこう言っていると言っておいてください。名前を出しても結構ですよ」と言いました。質問の女性は納得した顔で席に戻りました。

「男女七歳にして席を同じゅうせず」の解釈が若干異なった意味として理解されたことには、長い月日を要しています。しかし情報が迅速にかつ無限に広がる現代社会を考えた時、「食品添加物として防腐剤が存在する」という誤った説が定着しないと誰が断言できるでしょうか。さらに生きていくためには欠かせない「食」であるからこそ、人々は過敏になるほど神経を研ぎ澄ませています。一部の講師(?)が何の目的でデマをあたかも真実のごとく言っているのかは分かりません。

私たち埼玉県健康管理士会会員は、講師として科学的な根拠に基づいた情報の発信を、忘れてはならないと思います。自戒の念を込めて書かせていただきました。

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健康たより編集者 手塚典子会員<甘夏・夏みかん>


12月、我が家の甘夏も今こんなかんじ
真冬に色づくのに夏みかん・・・・?
初夏まで待つと酸味が抜けて食べやすくなるというのが名の由来らしい。
12月から5月までいつ収穫しても食べられる!
因みにレモンも同様です。