季節の食養生 ~秋のすこやか薬膳~

( 10月20日中央ふれあい館 )

          西山治子 会員

木々の葉が色づき始め、冷たい風が吹き、次第に気温が下がっていく季節。晩秋を健やかに過ごすための薬膳の知恵を紹介しました。

薬膳とは難しい料理ではなく、普段の食事に使う食材だけでも作ることができます。すべての食材にはそれぞれ効能があると考えられています。私たちの体に備わっている自然治癒力を引き出し、免疫力を高め、健康維持・増進、病気予防に役立てることのできる食事です。薬膳には天人合一という言葉があり、人は自然界の一部であって、季節の変化など自然界で起こっていることが私たちの体の中でも起こっています。四季の変化に合わせ、私たちの体も自然に調和していくことが大切です。

秋は、暑い夏から寒い冬へと大きく変化する季節です。空気の乾燥とともに私たちの体も乾燥しやすくなります。秋は五臓の肺が活発に働くため、肺と関係の深い大腸や鼻、皮毛、感情では悲しみや憂いに影響が出やすくなります。喉の違和感や咳、鼻詰まりや鼻水、皮膚や爪の乾燥、髪のパサつき、乾燥による便秘、尿量の減少などの症状です。体と心は密接につながっているため、秋になるとなんとなく物悲しくなることがあると思います。

秋の養生ポイントは、肺や体、腸を潤す食材をとりいれ、乾燥から体を守り、寒い冬に備えることです。同時に元気のもとである気を補う食材、肺を強くし寒さを取りのぞく辛味(しんみ)の食材を取り入れます。具体的に食材や調理例を挙げ、秋の生活養生について話をしました。また、資料として簡単な秋の薬膳レシピを紹介しました。

季節の養生は今の秋の養生だけでなく、次の季節、寒さの厳しい冬への身体作りにもつながります。身体の声に耳を傾け、食材の力を借りて体と心のバランスを整え健やかに過ごしましょう。日常の食事こそが良薬です。