講演者:松島 勇次 会員

5月15日川口市中央ふれあい館にて健康講演を行いました。

講演内容は、主に地中海沿岸国、香港と日本の食生活とカロリー制限について約1時間半の講演でした。まずは、地中海料理は、健康に良いことで知られています。心臓病、がんの予防そして、アルツハイマー病のリスクを低下させることが明らかになっています。

地中海

地中海料理とは、ギリシャ、イタリア、スペインなどの人々が伝統的に食べてきた食事のことです。料理の特徴は、緑色の葉野菜、魚介類、オリーブオイル、果物、ナッツ類、穀物、赤ワインを活用し、肉類や乳製品はあまり摂取しないことです。その結果アルツハイマー病にかかるリスクが半分に低下しました。地中海料理に近い食事を実践する人ほど高齢になった時に脳の健康を正常に維持できる事もわかりました。地中海料理が健康に良いというのは、オリーブオイルをたくさん摂取することではなく、緑の濃い葉野菜、果物、豆類などの抗酸化食品に富んでいるからです。
次に香港が長寿の理由;①医食同源に基づく食事(医食同源とは生薬も同じ源で、日常の食事で病気を予防し治療するバランスのとれた美味しい食事です。)野菜、魚、肉などを煮込んだ薬膳スープを毎日飲み、新鮮な魚介類、野菜、果物、豆腐などを毎日食べています。②家族の絆が強い;お年寄りを大切にする儒教の精神が生きていて、また、精神的な連帯意識が強く孤独感を防いでいます。長寿者の8割が老人ホームで暮らすが、親族とは頻雑に交際しています。
このように、薬膳料理およびお年寄りを大切にする文化が良い結果をだしています。そして、和食の文化;視覚、嗅覚、味覚、聴覚、触覚の五つの感覚を五感といって、和食の真髄がこの五感に宿る素晴しい食文化です。和食も地中海食と同じように、抗酸化物の宝庫で新鮮な魚介類、野菜、果物を摂る食事で長寿を保っています。
最後にカロリー制限が健康長寿に重要な事がわかってきました。健康長寿と関係があることの発見のきっかけは、第2次世界大戦時ドイツ空軍がイギリスのロンドンを空爆した時、空爆のストレスで病気による死者が増えると思われましたが、意外と死者は少なく原因は、食料の配給が市民に十分に届かなかったことがかえって死者の数を減らしました。これがきっかけで食料制限によって寿命が、のびるのではないかと動物実験が始まりました。アメリカのウイスコンシン大学の研究チームが、2009年7月サイエンスにアカゲザルの研究発表などを、パワーポイントを使って講演しました。みなさんのご協力に感謝いたします。