講演者:佐藤 衣代 会員

4月15日、戸塚西公民館で講演させていただきました。
今まさに『春眠』、ところが不眠に悩む人が多いとか。そこで睡眠を取り上げてみました。

  1. 睡眠のメカニズム 加齢に伴って睡眠も変化すると言われています。60代以上の眠りの特徴として入眠困難、熟睡困難、中途覚醒、早朝覚醒、早起き早寝があります。睡眠を量と質から捉えてみると、量である睡眠時間は「何もすることがないから寝床に入ることにしよう」という考えから長時間寝床に入る状況が『日本人の平日平均睡眠時間』により明確に示されています。望ましい睡眠効率の点からはこの考えは勧められないことをお伝えしました。
    次に、レム睡眠とノンレム睡眠の違い、若年者と高齢者の睡眠の質の比較を示しました。 そして睡眠の必要性、2つの仕組みへと進めました。

    睡眠サイクル 健康管理

  2. 体内時計 体内時計は脳と体をつなぐ架け橋で、ほぼすべての臓器にあり、脳の主時計からの指令で様々な生体リズムが刻まれており、主時計は朝の光によりリセットされ、末梢時計にとっては朝食は大事で炭水化物を必要量摂ることがリセットのカギとなっています。
  3. 調節するホルモン 睡眠ホルモンであるメラトニンは光と年齢により分泌が変化することを図で示しました。ここでも若年者と高齢者の体温リズムの違いにより二者の睡眠に特徴が生じ、高齢者の早寝早起き、熟睡しにくいという根拠が図を見ていただいたことによりご理解いただけたと思います。
  4. 睡眠障害 眠れなくなる要因として睡眠の必要量の減少、最高体温の低下、メラトニンの減少、配偶者との死別、頻尿、持病、睡眠障害、薬の副作用、過剰な昼寝、寝室の環境が不適当、カフェイン摂取などが挙げられます。不眠症の患者数は5人に1人で、その全体の5%が睡眠薬を飲んでいると報告されています。この数字は医療機関を受診した人の人数ですから隠れ不眠症の方を加えるとかなりの数に上りそうです。改正された不眠症の定義と4つの症状と原因を説明しました。睡眠障害に伴う倦怠感、意欲低下、集中力低下、食欲低下に悩まされたら放置せず、なるべく早く医師に相談することを強調しました。
  5. 体内時計の乱れと生活習慣 生活リズムと睡眠、不眠と生活習慣病について肥満から心血管疾患へと進む流れで説明しました。安心な精神状態に因る睡眠に至るには自律神経のバランスも大切な要因ですが、自律神経そのものはケースバイ ケースで交感神経と副交感神経の優位を保たなければ失調症になってしまうことをお伝えしました。
  6. 改善策 トリプトファンが材料となりセロトニンが脳内で作られメラトニン・睡眠ホルモンが分泌されること。トリプトファンは必須アミノ酸なので食品から摂取しなければならず、多く含む食品の例示。

最後にぐっすり寝るにはどうしたらよいか、各人の睡眠をチェックしていただき終わりました。