講演者:両角佳子 会員

(11月17日(火)戸塚西公民館)

インフルエンザ予防についてお話しさせて頂きました。
インフルエンザの怖さは、その感染力の強さと重症化の危険性にあります。高齢者は特に気を付けてくださいって、なぜでしょうか?

ウイルスや細菌に感染しない為に、身体には3段階の障壁が備わっています。まずは皮膚や粘膜で異物が入らないようにし、もしも入ってしまったら自然免疫で異物を攻撃し排除します。それでも防ぎきれない時は獲得免疫、つまり予防接種が有効に働きます。
体内では血管やリンパ球の中にいる白血球やリンパ球が全身を巡って、常に異物と闘ってこれを排除しています。このような免疫の働きの中でも、リンパ球は異物に対して最良に対応することができ、抗体を作って病原体等を攻撃します。
このリンパ球が育つ機関が胸腺ですが、これは思春期に最大になりその後急速に縮小します。そうなると異物に反応するスピードが遅くなり、作られる抗体の量も減ってしまいます。高齢者の身体はこのような状態なので、予防接種が必要なのです。

免疫力を高めるには、他にも方法があります。まずは腸内環境を整え、善玉菌を増やしておきましょう。腸は「内なる外」と言われ、外界のさまざまなウイルスや菌と接しており、その侵入を阻むために沢山の免疫細胞が集中しています。乳酸菌や食物繊維には、この免疫細胞を活性化する働きがあることが様々な研究結果から明らかになってきています。まずは普段の食事で野菜や果物、海藻、発酵食品をとることを心掛け、細胞や酵素の材料であるタンパク質もきちんととりましょう。

もう一つ大切なポイントが体温です。暖かい部屋から寒い屋外に出ると、反射的に末梢血管が収縮し体温を奪われないようにするのですが、高齢になるとこの反応が遅くなり体が冷えやすい状態になります。また、熱(体温)を産生し、血管を押して血流を良くするのが筋肉ですが、加齢とともに筋肉量が減り、十分に熱を作りにくい状態にもなります。体温を上げ血行を良くするには適度な運動をし、外出の際は必ず防寒をするようご注意ください。

また高齢になるとのどの渇きに気づきにくいというのは夏も冬も気を付けるべきで、特にのどの粘膜を守るためにはこまめに水分をとり、室内は加湿を心掛け、ウイルスに感染しにくい環境づくりをしていきましょう。ささいな体調の変化にも気を配り、この冬を元気に乗り切って下さることを祈念いたします。