顧問 高橋義一先生

今から68年前、旧陸軍の飛行学校で猛訓練に明け暮れていた頃、夜中に目が覚めるとあと何時間寝られると思い、かすかな嬉しさを抱いたことが屡あった。ところが最近では、あと何時間寝なければならないという退屈感を覚えるようになった。まさに時を隔てた環境の変化である。

戦後私は、26歳のとき、教師をやめて市内の鋳物工場の経営に当たらなければならなくなったことがあった。その頃、朝起きてワイシャツのボタンをかける時、その日の仕事の不安や金の心配で気が重くなったことを今でも思い出す。

このことから、管理士会の会員それぞれについて考えることがある。責任ある立場にあって精一杯仕事をこなしながら例会に出席している会員や、病人を抱え、その面倒を見ながら例会に参加してくる会員など、それぞれ大変な思いで出席している姿を見ると、昔の私の姿に重ね合わせて感無量なものがあり、頭の下がる思いがする。管理士会を信じて参加して来られるこれらの人たちの誠意に対して何らかの方法で報いなければならないと考えている。それにはまず講演会場を増やし、会員に多くの講演の場を提供しなければならないと思う。現在川口市内では順調に会場が増えてきているが、今年からは県老連の健康委員長としての私の立場を利用して県内の市町村に隈なく拡大していきたいと考えている。今の真執で懸命な例会の有り様を見聞きしていると充分これに対応できる状態にあると思う。

今年、私の方から常識テストを3回提出した。あと3回出す予定だがこれは、講演の中味を充実させ、興味を引き立たせるためのものである。充分に理解するまで勉強してもらいたい。そして考えてもらいたい。

今年3月、東北・関東の太平洋沿岸に大きな地震と大津波が襲来した。千年に一度発生すると言われている大災害の実態を知り、日本中の人達が息を呑んだ。予期しなかった大被害を受けた。この惨状に驚くのは当然だが、ここで「なぜ」を考えてみよう

水素爆発はなぜ起きたのか、燃料棒の材質は、放射能とは何か、原子炉の構造は、ウラニュームと鉛の関係、マイクロシーベルト、チェルノブイリ原発事故とスリーマイル島原発事故とこのたびの福島原発事故の相違。

この事故で、太陽熱利用の論議が盛んになると誰しも考えるが、地球にそそぐ太陽熱の大きさはどのくらいかなど考えることは多い。

今後の皆さんの一層の努力を期待する。