11月6日

川口市立西公民館

西山 治子 会員

朝晩の気温が下がり、秋の深まりを感じる頃の講演になりました。ほとんどの方が薬膳という言葉を聞いたことがありましたが、薬膳を食べたことがある方は少数でした。薬膳は漢方薬を使った特別な料理ではなく、「薬食同源」の考え方をもとに、食材の持つ力を使って身体を整え、健康維持・増進、病気予防に役立つ食事です。普段の食材だけでも作ることができます。薬膳の考え方に続き、秋の食養生について話しました。

秋に気をつけたいのは「乾燥」です。初秋は暑さと乾燥の時期です。最近では、秋バテという言葉もよく聞かれます。この時期は、体の熱を冷ますとともに夏に消耗した気を補う食材を取り入れ、夏の疲労を回復します。今回は、晩秋に重点を置きました。晩秋は寒さに乾燥が加わります。起こりやすい不調は、呼吸器系では喉の乾燥や違和感、息切れ、空咳、口の渇きなど、体表では皮膚の乾燥や痒み、目や髪や爪の乾燥など、排泄物では便秘や尿量の減少などです。これらは自然界の乾燥に伴い、秋の五臓「肺」が影響を受けて起こります。

薬膳対策として、➀肺や体を潤すこと、②気(体のエネルギー)を補うこと、③乾燥対策が重要です。秋はからだを潤す食材を取り入れ、乾燥から身体を守り、冬に備えることが大切です。肺や体を潤す食材には、山芋、蓮根、百合根、きのこ類、乳製品などの白っぽい食材に加え、旬の果物や柑橘類などの甘酸っぱい食材も大切です。気を補う食材は、米、芋類、豆類、きのこ類、肉や魚類です。乾燥による便秘予防、腸を潤す食材には、乳製品、バナナ、ナッツ類、胡麻、白木耳などがあります。

これらの食材を使った家庭薬膳料理を紹介し、最後に秋の生活養生をお伝えしました。秋の養生は、秋を健やかに過ごすだけでなく、次に迎える寒さの厳しい冬の備えでもあります。元気で実りある秋をお過ごしいただきたいと思います。