講演者:田村 欣也 会員
65歳でさきいかや沢庵を噛みきれる人の健康余命は男性で17年、女性で19年あるそうです。
転倒は片足立ちの連続技である歩行がしっかりできないために起きます。①床に散らかした新聞や台所の野菜くずに滑る②敷居などの段差や掃除機のコードなどの障害物に、分かっていてもつまずく③階段の最後の一段を踏み外すなどです。夜中のトイレも転びやすいので、ゆっくり落ち着いて行動してください。階段に手すりをつけるなどの対策も必要ですが、部屋の整理整頓が一番です。
転倒危険度チェック①つまずく②階段を上るのに手すりが必要③青信号で横断歩道を渡りきれない④片足立ちで靴下をはけない⑤1キロ続けて歩けない⑥2キロの買い物を持って帰るのが困難。ひとつでも思い当たるなら要注意です。
外出時の必要動作は①歩く②またぐ~駅でホームから電車に乗り込むなど③昇って降りる~バスの乗り降りなどです。これらの動作がちゃんとできるためにはまず、正しい姿勢で立つことが大切です。頭が糸でつりさげられているイメージで、背骨が緩やかなS字を描くように立つのが自然な良い姿勢です。筋肉がしっかりついていないと正しい姿勢で立てません。正しい姿勢で、足をしっかり挙げて、つま先で力強く蹴って歩きましょう。そうすれば、転倒・骨折の危険は少なくなります。筋肉、特に太ももの筋肉―大腿四頭筋を鍛えましょう。椅子に浅く腰かけ片足をまっすぐ伸ばし、つま先を直角に立てます。そのほか膝引き寄せや開眼片足立ち、スクワットなどがあります。
腰痛や膝の痛みも寝たきりになる危険があります。専門医の話では、ぎっくり腰は痛みがあっても2~3日寝たら体を動かした方がよく、安静にしすぎると筋肉が落ちて、かえって症状が悪くなるという事です。変形性膝関節症は加齢と肥満が原因です。腰や膝の痛みが気になる人は寝具やソファーは余り柔らかくない方が良いです。杖も老眼鏡をかけるようなつもりで、使いましょう。「老体に耐震補強の杖一本」まさに転ばぬ先の杖です。家事では中腰にならない工夫をして下さい。洗濯物を干す時、籠は椅子の上に置くとか、よく使う引き出しは上の段にするとかです。
腰や膝が気になる人はウォーキングは30分くらいが適切で、休み休みで良いのです。その方が長続きしますから。水泳や卓球も良いのですが、膝がかなり痛い人は平泳ぎとスクワットは控えた方が良いです。
骨粗鬆症の場合、特に70歳以上の女性は太ももの付け根を骨折しやすく寝たきりになる危険が高いです。今からでも遅くありませんから、骨粗鬆症予防にも気を使いましょう。