10月16日
川口市立中央ふれあい館
西山 治子 会員
朝晩涼しくなり、秋の気配を感じるようになりました。秋は残暑から木枯らしの吹く寒い冬へと大きく季節が変わる時期です。薬膳の「薬食同源」という考え方をもとに、食材の持つ力を使って身体を整え、健康維持・増進、病気予防していくことや、秋の食養生について話をしました。
秋に気をつけたいのは「乾燥」です。初秋は暑さと乾燥の時期です。最近では、秋バテという言葉もよく聞かれます。体の熱を冷ますとともに、夏に消耗した気を補う食材を取り入れ、夏の疲労を回復します。今回は、10月も半ばでしたので晩秋に重点を置きました。晩秋は寒さに乾燥が加わります。秋の邪気「燥邪」によって晩秋に起こりやすい不調は、呼吸器系では喉の乾燥や違和感、息切れ、空咳、口の渇きなど、体表では皮膚の乾燥やかゆみ、目や髪や爪の乾燥など、排泄物では便秘やコロコロ便、尿量の減少や色が濃くなるなどです。これらは自然界の乾燥に伴い、秋の五臓「肺」が影響を受けて起こります。
薬膳対策として、➀肺や体を潤すこと、②気(体のエネルギー)を補うこと、③乾燥対策が重要です。秋はからだを潤す食材を取り入れ、乾燥から身体を守り、冬に備えることが大切です。肺や体を潤す食材は、山芋、蓮根、百合根、きのこ類、大根、乳製品、卵など、白っぽい食材が多いです。それに加え、旬の果物や柑橘類などの甘くて酸っぱい食材も大切です。気を補う食材は、米、芋類、豆類、きのこ類、肉類や魚類です。乾燥による便秘予防、腸を潤す食材には、乳製品、バナナ、ナッツ類、胡麻、杏仁、白木耳などがあります。
これらの食材を使って家庭でできる薬膳料理を紹介し、最後に秋の生活養生をお伝えしました。秋の養生は、秋を健やかに過ごすだけでなく、次に迎える寒さの厳しい冬の備え(からだ作り)でもあります。
元気で実りある秋をお過ごしいただきたいと思います。