12月18日

川口市立中央ふれあい館

西山 治子 会員

北風が冷たくなり、冷えを感じる季節です。東洋医学の視点から冬の食養生をお話ししました。

薬膳は漢方薬を使った特別な料理ではなく、「薬食同源」の考え方をもとに、食材の持つ力を使って身体を整え、健康維持・増進、病気予防に役立つ食事です。普段の食材だけでも作ることができます。

冬は1年で最も寒い季節です。植物は葉を落とし、春の芽吹きまでエネルギーを蓄えます。一部の動物は生命を維持するために活動を控えて冬眠に入ります。冬は「閉蔵」の季節といい、人も寒さから身を守り、生命エネルギーの消耗を防ぎ、身体を休ませる季節です。

冬の特徴は「寒さと乾燥」です。起こりやすい不調は、寒さによる冷えや免疫力の低下、風邪、肩こり、関節や腰膝の痛み、秋から続く空気の乾燥による皮膚の乾燥や痒み、喉の乾燥。また、冬の五臓「腎」の弱りによる頻尿や尿漏れなどがあります。腎は老化と深く関わっているため耳や骨、髪に現れやすくなります。

薬膳対策として、➀身体を温め、気血の巡りをよくする食材、②乾燥に対してからだを潤す食材、③胃腸の働きを高め免疫力を高める食材、➃腎の働きを高める食材を取り入れることが大切です。

それぞれの食材例を挙げ、家庭でできる薬膳として、朝食におろし長芋と生姜のお味噌汁、昼食に海老とにらの卵炒め、夕食に黒豆ご飯や鮭と野菜の包み蒸しなどを紹介しました。

特に朝一番は温かい食事から始めることが大切です。

生活養生では、自然に合わせて“早寝遅起き”、温かい服装で3首・お腹・腰を温めること、湯船で冷えの緩和や肌の保湿ケア、緩やかな運動で代謝を上げること、日向ぼっこは背中をお日さまに向けることなどをお話ししました。

冬の養生は、この季節だけでなく、次の春から1年を過ごすための養生です。また老化防止にもなります。日々自分でできる養生を心掛けましょう。