1週間ほど前、認知症の勉強会に出席しました。

認知症になると「全部だめになる」と思っている人がいますが、それは大きな誤解です。勉強会に講師として出席した若年認知症の青年は出勤して自分の席や上司の名前が分らなくて、その都度聞いているそうです。そして仕事をこなしているという事でした。

ほかの患者さんの話も聞き、私は「感動すら覚えた」と申し上げました。

認知機能について気がかりでしたら早く医師に診てもらいましょう。そしてまず、認知症”以前”の症状や病気を治療して、認知症に進ませないで下さい。それが予防の第一です。

目や耳の治療だったり、糖尿病や高血圧の治療だったりします。医師の治療を受け、薬を飲んでいれば認知症は防げると言うところまで現在の医学は至っていません。

でも、運動を継続的に行い、社会とのつながりを持ち、好き嫌いのない食生活をすることが認知症の発症を予防したり、発症を遅らせたり、認知症患者の症状の進行を緩やかにすることが期待できます。

これは様々な医療・研究機関の調査とそのデータの分析からわかって来たことです。政府の認知症大綱にも初めて「予防」という言葉が入りました。

そこでも運動と社会とのつながりを第一に挙げています。運動によって血流が良くなり、脳に栄養と酸素を送り届けられるからです。楽しく毎日を送ることもすごく大切です。

この勉強会である医師が「吉本の会場の忘れ物で一番多いのは杖です」と言ったことを紹介しました。さぁ何故でしょう?認知症になっても多くの機能が残されています。残った機能を使うことで普通の生活に近い生活ができます。

認知症の方には優しくしてあげて下さい。それが認知症を進ませないための実は一番いい薬なのです。そして皆さん、無理のない範囲内でできるだけ運動を続け、楽しく生きて下さい。