講演者:両角佳子会員
1月17日(火)戸塚西公民館にて、厳冬の中30数名の皆様にお集まり頂き誠にありがとうございました。新年早々暗いテーマですが、皆様のご関心は高く、最後まで熱心に聞いて頂きました。
うつ病については7月にも寄稿致しましたので重複しない内容を書かせて頂きます。
うつ病になると脳の働きが鈍るため、記憶力や集中力の低下がみられ、高齢者の場合「仮性認知症」と呼ばれる症状が出ることがあります。すると認知症との鑑別が難しくなりますので、その違いについて大まかに知っておきましょう。例えば鍋を焦がしてしまったなどの失敗をしたとき、「危ないでしょ」を家人に注意されると、仮性認知症の場合は抑うつが先行するため、「料理もできなくなって情けない、もう私はご飯を作らない」と深刻に受け止め自分を責める傾向があります。一方認知症の初期の場合は「たまたまトイレに行ってそれから他の用事をしたから忘れただけ」「たまたま水を入れるのが少なかったのよ」など取り繕ったり、言い訳をしたりする傾向があります。食事については、うつ病の人は食欲がありませんから食べたくない、食べられないのに対し、認知症の人は食べたことを忘れてしまいます。
他にもいろいろ注意すべきサインは沢山ありますが、体調不良を強く訴える「仮面うつ病」にも気をつけましょう。夜は眠れなくて朝起きた時、体に鉛が入ったように重くだるい、食欲がなく頭痛やめまい、下痢や便秘があるなどです。内科を受診しても特に異常は見られない場合は、心気症状、憂うつで何もやる気がおきない、物忘れがひどいなどの訴えがないかに配慮しましょう。
うつ病になっても認知症になってもどちらも辛いです。ただ、うつ病の場合は薬が効くこともあります。薬を怖がらないでください。抗うつ薬は副作用の少ないものが開発されていますが、即効性がなく長く飲まなくてはいけません。抗不安薬や睡眠導入剤は即効性がありますが依存性が出やすいので、どちらの薬も医師とよく話しながら種類や量を加減していきます。焦らずじっくり治していく病気です。
では予防に重要なことはなんでしょうか? 弱音を吐いたり、愚痴を言ったりできること。頑張り過ぎないこと、自分や人をほめること、楽しいな、面白いなと笑うこと。つまり人とつながること。規則正しい生活をして、体を動かしたり、歩いたりすることです。
もしかして、私だけはうつ病にならないと思っていませんか? もう一度言います、うつ病はきっかけさえあれば誰でもかかる可能性がある病気です。