講演者:小林 英二 会員

10月2日(水)西老人会(川口市西公民館)

食生活の課題を意識して頂くために、初めに食生活の考え方と実際の食生活のあり方について簡単な質問を行い、その後本日のテーマに入った。

  1. 老化と健康
    老化とは、加齢とともに体内の諸器官が萎縮し、それに伴って生きていくための諸機能が低下し、様々な病気にかかりやすくなる状態をいう。
    老年期の特徴は、中年期に多い生活習慣病を乗り越えたものの、がんや認知症のリスクは残るが最大の課題は身体の老化に伴って引き起こされる健康障害である。
    老化の指標となるのは「最大歩行速度」であり、男女とも70歳頃から75歳ころまでのおよそ5年間で急速に身体の老化が進むことが明らかになっている。
  2. 高齢者の健康と栄養
    人間総合科学大学の熊谷修教授などの研究によると、高齢者は粗食が良いという通説と反対に、多種多様な食品を食べていて、特に肉などの動物食をしっかりとっていた人に健康長寿者が多いという結果を得ている。
  3. タンパク質の必要性
    人体を構成している細胞の主成分はタンパク質である。ところが、古い細胞は壊されて常に新しい細胞に入れ替わっている。だから、食品からタンパク質をしっかり摂らないと、人体を構成する丈夫な細胞が生成されない。健康を維持する基本は、タンパク質をしっかり摂ることである。
    動物性タンパク質は、アミノ酸成分が植物性タンパク質より人体のタンパク質に近いので、効率よく人体のタンパク質に再生される。したがって、タンパク質のなかでも、特に動物性食品の摂取が重要となる。
  4. 老化が進む“低栄養”
    Family having a barbecue party「いつも好きなものしか食べない」、「年を取ったら粗食がいい」、「健康のためと必要以上に食事を制限する」「一人暮らしなので、料理を作るのが面倒」など、自分の好み、思い込み、都合などで低栄養になる高齢者が少なくない。これを“新型栄養失調”という。食べることによって私たちの体は作られているので、低栄養特にタンパク質が不足していては急速に老化が進む。
  5. 1日に必要なタンパク質
    いろいろな食品からタンパク質を摂るようにすると、その他の様々な栄養素も摂ることができる。
    1日に必要なタンパク質を摂るには、動物性タンパク源として肉類(50~70g)、魚介類(肉と同じくらいの量)、乳製品(牛乳コップ1杯)、植物性タンパク源として豆腐(1/3丁)あるいは納豆(1食分)、ご飯(茶碗8分目×3)などが必要である。
    タンパク質摂取の指標として、血液検査の「血中アルブミン値」で確認すると良い。