講演者:両角 佳子 会員
10月15日(水)、中央ふれあい館にて、冬に備えてインフルエンザ予防をしましょうというお話をさせて頂きました。
冬は気温が下がるので人の粘膜の繊毛運動が不活発になるのが一点。空気が乾燥するために、粘膜を覆う粘液が減って傷つきやすくなるのが二点め。そして低温と乾燥を好むウイルスの活動が増える。この三条件が揃ってしまうことでインフルエンザが毎年流行します。インフルエンザウイルスは亜型が毎年変異するのと、予防接種ワクチンは免疫の持続が半年程度ということで、面倒でも毎年受けなくてはいけません。
高齢者には肺炎球菌ワクチンも併せて接種されることを推奨します。
かつては一生に1回しかできなかった任意の予防接種ですが、薬の改良により、約5年に1回接種できるようになりました。肺炎になる原因の約3分の1が肺炎球菌、次いで3分の1がその他の菌、残り3分の1が原因不明と言われており、この予防接種をしたから肺炎にならないとは言えないですが、インフルエンザから肺炎になり入院というリスクを6割、死亡リスクを8割低減できるそうです。この10月から65歳以上の方で5歳刻みに定期接種になりました。自己負担は5、000円(川口市)です。任意で受けられる方は8、000円です。
インフルエンザには抗ウイルス薬がありますが、ウイルスを殺すのではなく、それ以上増殖しないようにするものです。インフルエンザウイルスは体内に入ると爆発的に増殖します。そのため発症から48時間以内に病院に行き、抗体検査を受け、イナビルなどを処方されます。48時間以上経ってからではウイルスが増殖しきってしまうので効果がありません。様子を見てから、というのではなく早めに病院に行ってください。必要に応じて解熱剤や咳止めなども併せて服用します。高熱が治まっても体内にはまだウイルスが多く残っており、安静にしないと余病を発症してしまうことになります。
マスクや手洗いの励行、こまめな水分摂取も大切ですし、日頃から栄養バランスの良い食事をとり、適度に運動し、体を冷やさないようにするのも忘れないようにしましょう。
もしも肺炎になって入院したら医療費もかかります。貯金を取り崩す人も多いでしょう。でも公的な医療保険には自己負担を軽くする高額療養費制度があります。70歳以上の方は所得による区分と、外来のみ(個人ごと)の場合と入院時(世帯合算)の場合に分かれています。但し、暦月で計算する点に注意が必要です。食費や差額ベッド代は含まれません。もう一度確認しておきましょう。