講演者 長谷川 洋会員

 3月20日に戸塚西公民館で講演させて頂きました。三寒四温の天候の悪い日にも拘わらず、多くの熱心な方が聴講に来られており、少しでも皆さんに喜んで頂けるように心掛けました。今回は誰にでも関心のある「骨」と、最近話題になっている「フレイル」について、私の体験も加味してお話し致しました。

 最初に、老いない骨のつくり方については、アンチエイジングの為に骨が如何に大切であるか、また、骨の病気として、健康寿命に大きく影響する骨粗鬆症、歯周病、変形性関節症の3つの病気の恐ろしさを知って頂きました。老化に伴い骨、軟骨の病気で歩けなくなると、廃用症候群となり、筋肉、関節などを含め、全ての心身機能低下に繋がります。

 骨の役割や構造については、我々の身体には、どんな人工材料も及ばない素晴らしい材料であり、単なる体型の維持だけでなく、造血と血中カルシュウム濃度を一定に保つという大切な機能があります。また、骨はリモデリング機能を備え、破骨細胞と骨芽細胞の作用で、骨の材料がどんどん入れ替わっています。軟骨は衝撃を吸収したり、可動性を与える機能を持つ、水分75%のゲル状の膜です。一旦損傷を受けると再生しにくいので、今あるものを大切にしてください。骨や軟骨の生理的老化に対しては食事と運動が大切であり、運動では無重力状態で長時間を過ごす宇宙飛行士が、宇宙で10倍のスピードで老化すると言われています。また、軟骨では、体重を支えることがストレスとなる肥満が大敵です。

 骨と軟骨を強くするためにはカルシウム吸収の良い食事と、一日30分汗ばむ程度の歩くことが基本の運動です。歩くことでは、有酸素性と無酸素性を同時に行うタバタ式プロトコルはお金が掛かりません。また、長時間同じ姿勢でいることは、老化を促進するので「30分に1回起立して耳石に重力を感じさせるだけで細胞が活発化します」と言いましたら、皆さん一斉に起立して早速実施致しました。

 休憩後、「フレイル予防」については、横文字が多くなってすみませんと前置きして本題に入りました。サルコペニア(加齢性筋肉減弱症)は筋肉の衰えに限っていますが、フレイル(虚弱)は身体的だけでなく、社会的、心理的(こころ)を含めています。健康寿命(2018.3.9 厚生労働省発表の推定値を用いて説明)を延ばすには、個人がそれぞれフレイルを予防することによって、少しでも要介護に至る時期を延ばすことが大切です。その為には運動(指輪っかチェック、片足立ち、ペットボトルの蓋を開ける、青信号で渡り切る)、食事(オーラルフレイル含む)、社会参加が大切です。

 閑話休題で、イギリスの諺「一日だけ幸せ・・・」について、皆さんにクイズを出したところ、思わぬ反響があり、中国ではどうか・・・まで発展しました。皆さんの勉強熱心さには驚くばかりの一日でした。次回の講演者の小竹治子さんにアシスタントして頂き、ありがとうございました。