講演者:小林 英二 会員
6月20日(水)午前10:00~11:30に中央ふれあい館で講演を行いました。
日本は世界有数の高齢社会になり、今や認知症は誰もが避けて通れない問題になっている。認知症に関する講演は、今回で3度目となった。一つの講演が終わると更に学び、常に講演の内容を修正してきた。回を重ねるごとに、出席される方々により満足していただける講演内容になってきたと思っている。私は機会があるならば、同じ演題の講演を何度でも行いたいと思っている。その度に、その演題に関して広くそして深く学んでいくことができるからである。
今回は、平田さんには会場の準備からプロジェクターの準備と大変お世話になった。また、塩沢さんと長谷部さんには、講演設定のためにいろいろと連絡をしていただいた。講演を無事に終えることができたのも三人の方々のおかげである。心から謝意を表したい。
それでは以下、主な内容を報告する。
- 1.認知症とはどういう病気か
- かつては「痴呆」という名称であったが、侮蔑的な意味が含まれているということでH16年に「認知症」と名称が改められた。認知症という病気は、認知機能(記憶力や判断力)が低下することにより、日常生活に支障をきたすようになる状態をいう。初期の症状としては「もの忘れ」が現れることが多いが、加齢によるもの忘れは一時的に思い出せない状態であり、認知症によるもの忘れは何かを体験したことが頭に入っていないので思い出すことはない。
- 2.認知症の主な種類とその症状
- 認知症は高齢者に多く、85歳以上では4人に1人以上に及ぶ。主な種類は、
- (1)アルツハイマー型認知症(全体の約5割)原因は脳の神経細胞にβアミロイドというたんぱく質が蓄積して老人斑を形成し、脳神経細胞が死滅し脳が萎縮することによって起こる。記憶障害が顕著に表れるのが特徴である。
- (2)脳血管型認知症(全体の約2割)脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)することで、脳の一部が障害されて起こる。特に高齢者では、脳の細い血管が多数詰まる「無症候性脳梗塞」による場合が多い。
- (3)レビー小体型認知症(全体の約2割)日本のお医者さんが数年前に発見した認知症で、「幻視」が表れるのが特徴である。なお、認知症と間違えらやすい症状として、薬の副作用 ・老人性うつ ・てんかん などがある。
- 3.認知症予防5か条
- (1)生活習慣病を予防したり、きちんと治療しよう。特に、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などは、動脈硬化を起こし脳卒中のリスクを高めるので、適度な運動とバランスの良い食生活を送ることにより予防をする。また、早期発見・治療も大切。
- (2)脳を元気にする食生活を送ろう。特に脳を守る食生活として、①バランスの良い食事が基本 ②タンパク質は1日50gが目標 ③野菜は1日300gが目標 ④総エネルギー量を抑える ⑤水分を十分に摂る。
- (3)適度な運動を行う。適度な運動(有酸素運動)は動脈硬化を引き起こす生活習慣病の予防に効果がある。脳への直接的効用としては、適度な運動を行うと脳の血液の循環が良くなり脳が活性化される。また、運動を行うと脳神経栄養因子が増え、新たな脳細胞が作られる。
- (4)趣味を持って充実した日々を過ごす。知的、芸術的などの趣味を持つことで生きがいを得るとともに脳が活性化される。
- (5)社会と関り人との交流を持ち、明るく楽しく過ごす。ボランティアなどで社会と関ったり趣味などを通して人との交流をもつことにより、脳は活性化される。認知症予防5か条は、健康・長寿の5か条でもあるといえるだろう。
- 4.家族が認知症になったら
- ・早めに受診する、させる。
- ・家族が介護をするときは、①孤立させない ②目的を持たせてヤル気を起こさせる ③自尊心を傷つけない
- ・家族だけで抱え込まず、時には地域連携支援システムなどを活用するとよい。