講演者:佐藤 玲子 会員

3月20日(水)川口市中央ふれあい館で講演を行いました。 血圧は健康のバロメーターで高すぎても低すぎてもよくない。高血圧をそのまま放置すると動脈硬化などを引き起こし脳、心臓、腎臓などに影響を及ぼし脳卒中、心筋梗塞、腎不全の原因となり突然死の原因に。

  • 最大血圧(収縮期血圧) 収縮期とは心臓が全身に血液を送り出すため収縮した状態。心臓が収縮すると血液が絞りだされるように大動脈に送り出されるが大動脈などの太い血管は弾力性があるため、拡張して動脈壁は広がり血液をためることができる。血液が勢いよく送り出される時に血圧は高くなり、この時の血圧を最大血圧(収縮期血圧)という。
  • 最少血圧(拡張期血圧) 拡張期とは全身から戻った血液が心臓にたまり、心臓が拡張している状態。この時心臓は血液を送り出してはいませんが収縮期の時に拡張していた大動脈などの太い血管が収縮して残っている血液をゆっくり送り出すために血圧は低くなります。この時の血圧を最少血圧(収縮期血圧)という。 この収縮期血圧と拡張期血圧の関係を分かり易くゴム風船を膨らませて説明。
  • 高血圧と血管の様子 常に圧力がかかっている血管はその圧力に対抗するために血管の内壁を厚くする➝壁が厚くなると血管が狭くなるため血圧が更に上昇➝その結果血管は更に狭くなり、しなやかさが失われて弾力を失い動脈硬化になる➝更に高血圧に拍車をかける➝血管が狭くなるとコレステロールや中性脂肪がたまりやすくなる➝血中濃度が高くなり更に血圧は高くなる➝高血圧にさえぎられた血液を送ろうと心臓の筋肉が必要以上に働き肥大する(心肥大)
  • 大動脈の弾力(加齢とともに血圧が上がる原因) 大動脈とは心臓から押し出された血液が最初に通る心臓に近い太い血管のこと。この大動脈の弾力が良くてしなやかだと少ない圧力で末梢まで血液をスムーズに運ぶことが出来る。大動脈は加齢と共に硬くなり弾力を失う。その分血管内に大きな力(圧力)がかかることになり血圧も上昇する。
  • 循環血液量(塩分の摂り過ぎが血圧を上げる原因) 循環血液量とは体内を流れている血液量の事。循環血液量が適量よりも多いと多くの体液を循環させるためにより大きな力が必要となり血圧が高くなる。塩分を取り過ぎていると血管内に水を取り込むと共に血管の拡張性を弱め血圧を上げる。
  • 血管抵抗(末梢の血管に血液が流れていった時に血管から受ける抵抗のこと。 末梢細動脈(手足の先の細い動脈)が細くなったり、硬くなったりすると血液を送る際に多くの力(圧力)がかかるために血圧が高くなる。 寒い時には体熱の放出を防ぐ為に血管が収縮して細くなり、血圧が高くなる。暑い季節はこれとは逆の現象が起こり、血圧は低くなる。 喫煙時にはニコチンの作用により一時的に血管が細くなり血液の流れは悪くなる。 このほか精神緊張やストレスなどでも同様に血管が細くなり血圧は高くなる。
  • 血圧を下げる方法は 減塩・太り過ぎに注意・バランスがとれた食事・節酒・禁煙・適度の運動・・ストレスをためない・日常生活は規則正しく・便秘解消・定期的に血圧測定。 それぞれの項目別に詳しく説明。バランス食はいつもと同様たまごで説明。 高血圧はもっとも頻度が高い生活習慣病です。食事と運動を上手に組み合わせ生活習慣病を見直し健康寿命を延ばしましょう!

幾つかの生活習慣病の中でも自覚症状に乏しく、臓器に重大な障害を引き起こすことのある高血圧の危険性を理解し、予防に努めて頂くことを目的としてこのテーマ選びました。 聞いて下さっている方々に伝えたかったこととして、次の5つのことを意識しました。

  1. 自宅での体調は自分の責任で把握する習慣を身につけて頂く
  2. 治療にあたっては主治医や薬剤師と良好な関係を築く
  3. 食事に於いて、薄味に慣れることと、薄味でも美味しく食べられる調理の工夫
  4. 加工食品には多くの塩分が含まれているものが少なくない
  5. 高血圧の予防や改善に効果的な野菜・果物を知る

血圧測定高血圧の種類には二次性高血圧と本態性高血圧があり、二次性は原因が特定できるが、本態性は原因が特定できず、日本の高血圧症患者の90%以上を占めている。また、本態性高血圧の主な原因は塩分の摂り過ぎだが、肥満や運動不足、ストレス、酒の飲み過ぎや喫煙等もあることを説明。 高血圧をほっておくと血管や臓器に負担がかかり続け、脳や心臓、腎臓に障害が起こり、最悪の場合命を落とす。 治療や薬の服用等について疑問や心配事があれば主治医か薬剤師に相談することを促した。 本態性高血圧は、程度が軽い場合は食事や運動、禁煙など、生活習慣を変えることで改善することもある。 食事と運動、生活習慣の改善、塩分を摂り過ぎると血圧が上がる仕組みを話し、食事療法のポイントは塩分制限であることを強調した。又、食事摂取基準で決められている塩分の量がどの位なのかを知ってもらう為、用意しておいた9g、7.5g、6g、1gの食塩の現物を皆さんに見て頂いた。基準量は、加工食品等に含まれている塩分も対象となるので注意が必要であり、加工食品にどの程度の塩分が含まれているのか、包装に記載されているナトリウム量を食塩相当量に換算する方法を説明し、何種類かの加工食品の現物を見て頂きその量を実感して頂いた。 塩分控えめでも美味しく食べることの出来る食材の選び方や調味料の使い方なども簡単に解説した。 高血圧改善に効果的な栄養素である「カリウム」「食物繊維」「カルシウム」について説明し、野菜や果物の種類も紹介した。 以上の内容について話し講演を終わらせました。 途中、気分転換を兼ね数字の逆読みと言葉遊び、簡単なストレッチを行って頂きました。 講演を終わった後、高橋顧問が作詞した「食べ物10倍歌」と「ビタミン類を食べよう」を稲田会員のリードで全員で合唱して会を閉じました。