講演者:田巻 昌良 会員
嘱託として勤務している教育委員会・田上町公民館で私が担当しているいくつかの講座の中の一つとして健康講座があります。この講座内容は町・保健福祉課が行っている各地区への出前講座の内容と重複することが考えられることから年度初めに重複しない様すりあわせを行いました。その結果、町内の幾つかの地区で毎月高齢者向けのお楽しみ茶の間、お楽しみサロンなどを開催しているので希望する地区へ出向いて話をしたらどうかということに決まりました。その他に、公民館単独で健康講座を開催することの了解も得ました。テーマは事前に保健福祉課へ連絡することにしました。第1回目の地区講演を私の住んでいる地元で行って欲しい旨、地区担当の民生委員から連絡がありました。当日は(どこの地区も同じ様なのですが)朝一番に参加者に対して役場の保健師が健康調査を行いますのでお話はその調査が終わってから行うことになります。
今回の話のテーマについては民生委員から「認知症にならないために」という希望が出されておりましたので今までも何回か講演している前記講演テーマを60分用に改変して行うことにしました。「茶の間」に参加してくれている高齢者の皆さん8名の平均年齢はおよそ85歳とのこと。また、近所のおばあちゃんもおられて皆さん全員が顔なじみの方ばかりで、和気藹々の中で始めることが出来ました。話しながら見てみますと、保健師さん、サポーター役のお母さんたちの方が緊張しているように見受けられました。私は話の導入部で簡単な数字の話をすることにしています。今回も「平均寿命」と「健康寿命」の話題を入れ、今日参加している皆さんの平均年齢と近いということを知ってもらいました。
本題に入り、健康で長生きする方法を知るためには加齢によってどのようなことが起こるかを知ることが大切として「高齢期に多い代表的な自覚症状」「老化の進み具合を知る項目チェック」を紹介、説明しました。また、スクリーンに映し出したこの内容を参加者全員に大きな声で読んでいただきました。さすが平均年齢85歳ともなりますと多くの項目に覚えがある様で、うなずいたり、笑ったりしておられました。老化の進みを遅らせるために、至極簡単なこと、些細なことであっても続けることがとても大事になるとして4桁の数字の逆読みと地元田上弁の言葉遊び、スクリーンに映し出した幾つかの「ある絵」を見て連想していただく連想ゲームをやっていただきました。やっていただいた3つのことは脳を活性化してくれることを説明しました。
今回のテーマである「ぼけないため」という話題に入り、「もの忘れ」と「認知症」の違い、認知症の主な原因、認知症予防のための日常生活、特に寝たきりにならないため、転倒骨折予防、脳梗塞予防について説明しました。
この辺りで気分転換のため、大きな声で歌を歌っていただきました。
皆さん“ホッ”としたところで後半のお話、毎日の生活の中で認知症を予防することについて「適度な運動で筋力の強化と気分転換」「バランスの良い食事を心がける」「ストレスをためない、笑いのある生活」「趣味を持ち、人とのつながりを大事に」などがいかに大事かを具体的な例なども紹介しながら話を進めました。
60分という予定でしたので5分ほど前に終了し、質問を受けようと声をかけましたが特に質問も出ません。皆さんとてもリラックスした様子に見受けられました。当初高齢者で、60分のお話、といわれた時多少の心配がありました。ですが終わった時の皆さんの様子から話の内容をきちんと理解して下さっていることが見て取れました。
高齢者、少人数での講演の経験は初めてでこれからも続くと思われる「茶の間」「サロン」で話をする時の心得を勉強させていただけたと思い、感謝しております。
後日談を少し。地区の担当の民生委員が講演後の皆さんの様子を話してくれました。
地元の古くからの言葉で、今はほとんど使われていない言葉を使った「言葉遊び」でとても盛り上がっていた。身近にある情報を取り入れて話してくれる、ゆっくりと大きな声で話してくれる、などのことが聞いてくれる高齢者に安心感と、親しみやすさを与えてくれたようだ。