講演者:松島 勇次 会員
川口新郷公民館の若返り講座に、新郷長寿クラブ連合会小川連合会長指名により健康講演を行いました。昨年、戦国武将の生き方、健康長寿の知恵の講演を行い、それが好評により講演が企画されました。当日は、視聴覚ホール(110~115名参加)満員になり、とても充実した2時間でした。内容をお伝えします。
テーマ 生命の神秘「腸の働き」
私達の脳と体は、毎日食べる食べ物が姿を変えたものです。食べ物は、胃腸で生体触媒の酵素によって栄養素に分解され、腸管から吸収されて血液によって脳内に運ばれ姿をかえて脳を作り体をつくります。だから、何をたべるか何を食べないかが私達の人生の質を左右する要因になります。また、体内毒素を出す事によって健康になるという健康法があります。インドのアーユルヴェーダや中国医学では、古来より体の毒出しが重視されてきました。欧米の医療機関でもデトックスという分野が注目を集めています。デトックスとは、解毒や浄化という意味で体に溜まっている毒素を排泄する事です。そして、免疫力の鍵は腸にあって、口腔から肛門にいたる1本の長い管になっています。腸は人体に必要な栄養素を吸収する場所であり外から侵入してくる有害菌や異物に徹底的に備える必要があって、そのため免疫機構が腸に集中しています。特に回腸にリンパ小節がありパイエル板と呼ばれ1677年スイスの医師パイエルが命名しました。全身のリンパ球の70%以上が、腸管に集中していて腫瘍免疫(がん予防に働く)は、体全体の80%が腸管にあります。従って腸管免疫をいかに活性化させるかががん細胞の壊死につなげる最も重要なことです。
腸内細菌は100~500種類約100兆個いると言われています。善玉菌、悪玉菌、日和見菌と分けられ、これが腸内フローラ(花畑)をつくり腸内細菌のバランスによって、私達の健康は左右されています。平均的な腸内細菌の割合は、善玉菌20%,悪玉菌10%、日和見菌70%がベストとされています。腸は脳と同様の働きをし、ホルモンの分泌を促す重要な器官です。腸の運動はきわめて巧妙に仕組まれていて、食物の塊を必ず口から肛門に向かって運んでいます。そして、腸壁には神経の繊維が広がっていて神経の網タイツをはいているといわれます。脳に代表される神経系と腸に代表される内分泌に共通に存在する信号物質は、脳腸ホルモンと呼ばれています。免疫細胞の活性化のためには、免疫活動と深く関わっている自律神経をバランス良く保つことが不可欠です。そして、自律神経が生命活動をコントロールしています。それから、腸の腐敗が病気の始まりです。食生活の乱れ及びストレスが腸内腐敗をもたらし、血液の汚れそして、各種の病気が現れやすくなる内容です。樹木を観察することによって理解がしやすいと思います。樹木は根を土壌に生やして全体を支えていますが、根は単に樹木本体を支えるためのものではありません。根は栄養吸収細胞を保持し、土壌から栄養を吸収し全身に栄養を送っているのです。つまり、土壌は樹木の栄養源であり、根は栄養を吸い取る吸収措置といえます。栄養源の土壌が生ゴミいっぱいになったり農薬がいっぱいという土壌であったら枯れてしまう状態になります。そして、悪しき細菌叢(腸内の花畑)を作る原因ガ病気発症の元になります。このような内容の講演を行い、最後に質問をお受けして終わりました。皆様のご協力に感謝します。