講演者:両角佳子 会員
7月20日(水)暑い中、20名の皆さまにお集まり頂き誠にありがとうございました。
暗いテーマではありますが、実は高齢者がうつ病になるケースは多く、講演が始まる前にも「身内がうつ病を患っており、今日はぜひ勉強して帰りたいです」とお声掛け頂きました。
うつ病は誰でもかかる可能性がある脳の病気です。脳の中の神経伝達物質がうまく働かない状態です。
そして高齢期にはうつ病を発症しやすい「きっかけ」が沢山あります。精神的なストレスは自律神経や内分泌の変調を引き起こします。配偶者との死別、一人暮らし、入院など大きな環境の変化に不安や焦りを強く感じ、「気分が落ち込んで、憂鬱」「何もやる気がおきない」などのこころの変化が現れます。特に午前中に落ち込みが強く、からだは鉛のように重く、ご飯も食べられず、パジャマのまま、寝たり起きたりします。夜は眠れないことが多いです。つまりからだにも行動にも変化が起きてしまいます。知的活動にも影響があり、注意力や判断力、記憶力が低下するため、「仮性認知症」という状態になります。
認知症とうつ病との判別は非常に難しく、専門医もとても慎重に診断をしていきます。身近な家族は「いつもと違うな」「ちょっと変だな」というサインを見逃さず、できるだけ早めに医師に相談して欲しいと思います。うつ病が単独で発症することもありますが、認知症などと合併して発症することも多々あるからです。
「うつ病はこころのかぜ」と言われた時期があります。それはうつ病は風邪のように誰でもかかる可能性があることを言いたかったのです。ただし、風邪のように1週間やそこらで治るような病気ではありません。長い期間抗うつ薬を飲みます。抗不安薬も併せて飲むこともあります。もちろん休養も大切です。時間はかかりますが少しずつ治る可能性もあるのがうつ病です。
うつ病は、真面目でこつこつ努力する人や、几帳面な人がなりやすいです。とても立派で素晴らしいことなのですが、ここは鎌田實先生の言葉を借りて、「○に近い△を生きる」のが良いのではないでしょうか。
私は姑と母がうつ病にかかり、毎日のように「死にたい」と電話がかかってきた経験があります。どうしていいかわからなくなり、「うつ病患者の家族会」に入り、たくさんの経験談やアドバイスを頂きとても助かりました。今後も講演の機会を頂けましたら、うつ病についてお話をさせていただきたいと願っております。