講演者: 田村欣也 会員


4月としては30度近いという異常な暑さで、熱中症予防の話をするのには“うってつけ”の陽気となりました。そこでまず、3月20日の選抜高校野球で2人の選手が熱中症で退場した話を新聞の記事を元に話しました。二つのヒントがありました。一つは室内練習場での水分の摂り方についての選手の話です。「スポーツドリンクを一回にコップ半分より少なめにして、1時間半の内に10回に分けて飲んでいます」。二つ目のヒントは高野連の関係者の話です。「夏は地方大会で勝ち抜いてきたチームが出場するので暑さ慣れしていますが、春は選抜ですので暑さ慣れしていないのです」。

本題に入り、熱中症の4要素を説明しました。気温・湿度・風・直射日光の状況で熱中症を発症します。湿度が高ければ、気温25度くらいから発症者が多くなります。
○発症が急激に増えるのは梅雨明け直後1週間の第一熱波です(梅雨の晴れ間も注意が必要です)。
○住宅での発症が4割ですが、高齢者は6割に上ります。
○おととし初めて高齢者の発症者が全体の5割以上になりました。

熱中症を予防するためには普段の生活習慣が大切です。
○まず起きたら一杯の水を飲みましょう。静かに生活していても1日に1ℓの水分が身体から蒸発します(不感蒸泄)から、朝起きた時は血液は最も濃くなっているのです。
○喉の渇きは感じるのが遅いから早めに水を飲みましょう。
○一回ひと口でこまめに。
○汗は体温を下げるためにかきます。朝夕の涼しい時に少し早く歩くなどの運動をして暑さ慣れをしておくと、塩分の少ない良い汗を早くかくようになります。汗をかくタイミング早くなると蒸発も早く、体温は早く下がります。
○気温が28度以上から発症の危険が増します。道路やビルの照り返しが強いので、高齢者は35度以上は外出は控えましょう。28度以上でどうしても出るなら、水を持ち日傘をさしましょう。
○家の中では風通しを良くし、閉めきっている時はエアコンを扇風機を首振りにしながら使うのが熱中症予防に最も効果的です。熱中症で搬送された高齢者の53%がエアコンを使っていないという調査結果があります。その理由は「体に良くないから」と言うものですが、それは冷やしすぎるからなのです。
○家にいて調子がおかしと思ったら持病のせいなど決めつけず熱中症を疑い、塩分入りの水を飲んだりしましょう。
○また外にいて熱中症かなと思ったら涼しい所に移って水を飲み、首の後ろなどを冷やして下さい。周りの人が熱中症の症状を見せた時は本人が自分の手でコップをつかんで飲めるなら水を飲ませてください。
○特に子どもと高齢者は30分で重症化します。
○様子がおかしかったら、早めに救急車を呼んだほうが良いと思います。

戸塚西公民館 4月18日