講演者;田村欣也 会員
認知症を予防したり治したりする確実な方法はありません。
でも気になったら病院でしっかり見てもらって下さい。
認知症になっても正常な部分は沢山残っています。脳には予備能力があり、症状の悪化を遅らせることができます。
認知症で一番多いのはアミロイドβという蛋白質が脳の神経細胞の周りにたまるアルツハイマー病です。
老化による認知機能の衰えと認知症との違いについては、
例えば「物忘れ」―老化の場合はヒントがあれば思い出せるが、認知症だと物忘れ自体の自覚がない。
「徘徊」は7割が目的や理由があって歩き出すが、途中で忘れてしまったりすることによるもの。
「物とられ妄想」は財布を置いた場所という短期記憶が失われる一方で以前から財布を持っていたという長期記憶は消えていないという記憶のギャップからくる症状です。
では認知症は予防できるのか。①認知症と症状が少し似ているがそうでない場合―うつ病、睡眠障害、視覚・聴覚障害②それよりは認知症に近いと思われるMCI(軽度認知障害)の場合はその病気や障害の症状に応じた治療をきちんと受けることが大切です。
認知症になりにくい、なっても症状を進ませない生活習慣について様々な研究・診療機関が発表しています。
その中で①運動が最も効果的②偏食をしない食生活③脳を刺激する生活④社会とのつながりを大切にする生活⑤質の良い睡眠などを紹介しました。
最後に、認知症患者は多くの機能が残っており自分の状態をつらくもどかしく思っています。
どうか周りの人はそのことを理解し、優しく接してあげて下さい。それが認知症の症状を進ませないために最も大切なことです。