講演者:小林 英二 会員
上記講演を3月6日に西老人会行ったので、その概要を報告します。
高齢者が寝たきりになる原因で一番多いのは、骨折・転倒である。その背後には骨粗しょう症が関わっている場合が多い。
1.骨粗しょう症とは何か
漢字では「骨粗鬆症」と書く。骨の内部の海綿骨がスカスカとなり、鬆(ス)が入った大根のようになって骨がもろくなった状態を指す。骨粗しょう症になると、重い物を持ったり、転んだりすることで骨折しやすくなる。寝たきりになった主な原因の1位が骨折・転倒である。
2.骨粗しょう症になりやすい人
①更年期を過ぎた女性 ②過酷なダイエットをする人(女性に多い) ③運動をしない人 ④高齢者 ⑤親が骨粗しょう症になった人 など
3.背骨の圧迫骨折について
骨粗しょう症になると、体などの重みで背骨が徐々に潰れていく。痛みが伴わない場合が多く、本人も気が付かない場合が多い。放っておくと次々に骨折が起き、寝たきりになることもある。背骨の骨折で起こるその他の危険については、①逆流性食道炎 ②肺機能低下 ③腰痛や足のしびれ ④転倒 などである。
予防する運動の一例としては、①背中そらし体操 ②足上げ体操 ③「えいっと」体操 などあり。
4.大腿骨頸部骨折について
骨折しやすい部位として、背骨のほかには手首、腕の付け根付近、そして大腿骨頸部がある。特に、大腿骨頸部を骨折すると大きな手術が必要になり長期入院で筋力が衰えて要介護になったり、寝たきりになったりになるリスクが高まるので十分注意が必要である。家庭内での事故が多いので、転倒を防ぐ住環境の見直しが必要である。
足・腰を鍛える運動の一例として、①有酸素運動 ②フラミンゴ体操(片足立ち) ③スクワット ④胸張り体操 などがある。
5.骨粗しょう症を予防する栄養
運動で骨を丈夫にするとともに丈夫な骨を作るための栄養を摂取することも大切である。
骨を作る材料として、①タンパク質 ②ビタミンC ③カルシウム、骨を効果的に作るために、①ビタミンD ②ビタミンK などが必要である。
6.新型骨粗しょう症
骨量が十分でも骨質に問題があり、骨が脆くなって骨折するという「新型骨粗しょう症」が増えている。骨の強さ=骨量+骨質(しなやかさ)、である。
高血糖にさらされると骨質が悪くなるので、糖尿病にならないように注意することが必要である。
7.骨粗しょう症の検診を受ける
次のような人は、骨粗しょう症予防のために年1回は検査を受けることが必要である。①女性は更年期を過ぎた頃以降 ②男性は60歳以降 ③家族が骨粗しょう症になったことのある人。