講師 田村欣也会員

この研究は群馬県北西部にある中之条町(人口1万8千人)の高齢者5千人を対象に15年間追跡調査し、どのような日常生活を送っている人が元気で長生きをしているかを調査・研究したものです。最初に、高齢者にとって大事なことは○いつまでも歩ける事○食べられる事○分かる事。そのためには転ばずに歩く習慣をつけ、栄養不足にならないようしっかり食事をとり、ゆっくり休むことをあげ話の本題に入りました。

中之条研究では調査の結果を「健康長寿の10ケ条」にまとめ、その中で大事なのは足腰が丈夫な事を上げています。
高齢者は家の中での歩きを含め1日平均5000歩、その内7~8分はやや早めに歩く事で認知症などの予防などに役立ちます。やや速めの歩きはその人にとって“いつもよりやや速い”事で人によって違います。無理はいけません。できれば1日平均8000歩、その内20分のやや速歩きが理想的で(これ以上は効果は同じかやり過ぎになります)、生活習慣病や体力低下に効果が期待できます。

歩数だけでなく“やや速歩き”が入っているのが中之条研究の“ミソ”なのです。せっかく歩く習慣をつけても転んで骨折しては台無しです。そこで歩き方にふれ、さらに転倒事故の7割を占める家のなかでの転倒に注意を促しました。そして普段の生活に関して、“飽きたら休んで下さいと”「疲労の3原則」を話しました。(飽きる・疲れる・眠くなる)
「健康長寿の10ケ条」の中では元気で長生きの人は血清アルブミン値が高い―3食きちんと、楽しく、好き嫌いがあってもその範囲内で様々な種類を食べて下さい。低栄養は良くありません。
慶大の百寿者調査でも元気な人は肉をしっかり食べ、野菜・果物も大好きです。
コルステロールや血圧は“低すぎず、高すぎず”太り方は“中くらい”―でも高くても、太っていても良いと言う事でなく程度問題で“ちょっとだけですよ”とくぎを刺しました。一方で他の調査でも、高齢の女性の痩せすぎが指摘されているので、そのことを付け加えました。。

中之条研究で面白いのは元気で長生きの人の傾向として主観的健康感や短期の記憶力が良い人を上げている事です。「主観的健康感が良い」とは少しは悪い所もあるが自分は普通かまぁ良い方だと思う事。
社会参加が活発な人も元気で長生きです。そこで旅行が一番良いですねと申し上げました。参加するには足腰が丈夫で食事も楽しめる事。幹事なら、計画を立てる面白さは短期記憶の良さに繋がりますし、達成感を味わい、お金の勘定で頭も使います。最後に寝付いてすぐの質の良い睡眠と歯の手入れも転倒防止をはじめとして元気で長生きにとって大切ですねと申し上げ締めくくりました