講演者 大脇久子
くしゃみ3回….「ハクション、ハクション、ハクション、くしゃみ3回ルル3錠」懐かしいTVのCMです。「一に褒められ二にふられ、三に惚れられ、四に風邪」三回くしゃみしたら、早めにかぜ薬をということでしょうか。「風邪は万病の元」初期症状が風邪にソックリな命にかかわる病気かもしれません。こじらせてしまうと肺炎などの二次感染をおこすかもしれません。
「風邪かな?」と思ったらどうしますか? 病院に行きますか? 町の薬局で薬を買いますか? 家で寝ていますか? かぜ(感冒)といっても「かぜ症候群」の一つでその原因の80~90%はウイルスです。治療の基本は安静、保温、十分な栄養・水分を摂ることで、熱がある、喉が痛いなどの症状を楽にするのが薬です。
医師と患者さんの一場面「風邪ひいたみたいです。いつもの風邪薬ください。」「抗生物質もください。」 何も聞かれず何も言わず、総合感冒剤や抗生物質をもらってきますか?
かぜのいろいろな症状に対応するためいろいろな作用の薬が含まれているので、よく使われるのが総合感冒剤です。
塩野義製薬から1961年パイロンカプセルが、その翌年1962年に医療用の風邪薬。それが現在もよく使われている「PL配合顆粒」です。そして昨年2017年8月に一般用に配合成分が同一の「パイロンPL顆粒」が発売されました。服用時の注意点等が書かれているこの2つの薬の添付文書を見てみましょう。
投与しないこと、相談しましょうの欄に「排尿困難、前立腺肥大症」「緑内障」の記載があります。いずれも「鼻水・鼻詰まり・くしゃみ」のために配合される抗コリン剤・抗ヒスタミン剤によっておこる副作用の一つです。
人によっては、総合感冒剤の中には使ってはいけない成分もあるということを認識してほしいのです。正しい知識を持ってくすりを上手に使うことがセルフメディケーションです。
切手にもなりましたアレキサンダー・フレミング博士は1929年実験中にアオカビから人類初の抗生物質ペニシリンを発見しました。これが幕開けとなって更に発見・作られた抗生物質が多くの感染症の治療に使われました。
しかし近年、不適正な抗微生物薬使用に伴う有害事象として、薬剤耐性菌とそれに伴う感染症の増加が国際社会でも大きな課題の一つに挙げられるようになってきました。このままでは2050年には全世界で年間1,000万人が薬剤耐性菌により死亡することが推定されています。
平成29年6月1日「抗微生物薬適正使用の手引き」第一版が発行されました。「感冒に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。」としており、「かぜ」をひいたと訴えて受診した患者には、急性鼻副鼻腔炎で鼻症状がメインの場合中等度以上で、急性咽頭炎で喉症状がメインの場合培養試験で陽性で抗菌薬考慮をしましょう、としています。
成人で抗菌薬使用により嘔吐、下痢、皮疹などの副作用が不使用の場合の2.62倍多く発生することが報告されています。
病気の原因の一つウイルスと細菌。その違いを理解しましょう。痰・尿から目で確認できるかもしれません。
ウイルスによるインフルエンザ今年も流行中です。インフルエンザワクチンの不足、A・B型の流行、大雪、患者報告数もうなぎ登りです。ウイルスは高温・多湿が苦手です。マスクや手洗いをきちんとして規則正しい生活を心がけましょう。
薬剤師などからのくすりの医師の処方箋が必要な処方箋医薬品と同じあるいはほぼ同じ内容のお薬が町の薬局で手に入るようになってきました。「ロキソニンS」、「パイロンPL」災害時に備えて「我が家のくすり箱」に加えるのも良い方法かもしれません。でもその薬使っても大丈夫ですか?医療機関に罹っている方は「お薬手帳」はご自分のカルテにあたります。
そして「お薬手帳」から患者さんの健康を守るためにするのが薬剤師の大事な仕事です。「かかりつけ薬剤師」の資格があると自負できるようになりたいと思っております。
*平壌オリンピック 日本選手も活躍しました。でも日本選手を含めドーピング違反がありました。
スポーツ選手使ってはいけない薬に一部の風邪薬があります。薬剤師に確認してくださいね。スポーツファーマシスト、薬剤師の新しい活躍の場です。