10月5日 西公民館

西山治子 会員

木々の葉が色づき始め、次第に気温が下がっていく季節。晩秋を健やかに過ごすための薬膳の知恵を紹介しました。

「薬膳という言葉を聞いたことがありますか?」と問いかけると、参加者の三分の一くらいの方が手を挙げてくださり、「薬膳とは薬の膳と書きます。なぜでしょう?」との問いにもすぐに答えが返ってきました。薬膳が認知されてきたことを実感しました。薬膳では、すべての食材にはそれぞれ効能があると考えられ、それらを組み合わせることで体に備わっている自然治癒力を引き出し、免疫力を高め、健康維持・増進、病気予防に役立てます。薬膳は普段使う食材だけでも作ることができる身近な料理です。薬膳には「天人合一」という言葉があり、人は自然界の一部であり、季節の変化など自然界で起こっていることが私たちの体の中でも起こっています。四季の変化に私たちの体も合わせていくことが大切です。

秋の特徴は「乾燥」です。厳しい残暑から寒い冬へと大きく変化する季節で、空気の乾燥により私たちの体も乾燥しやすくなります。秋は五臓の肺が活発に働くため、肺と関係の深い大腸や鼻、皮毛に影響が出やすくなります。喉の違和感や咳、鼻詰まりや鼻水、皮膚や爪、髪の乾燥、便秘、尿量の減少などの症状です。物悲しさや憂いを感じやすくなります。

秋の薬膳ポイントは、肺や体、腸を潤す食材を取り入れ、乾燥から体を守り、寒い冬に備えることです。同時に元気のもとである気を補う食材、肺を強くし寒さを取り除く辛味(しんみ)の食材を取り入れます。具体的に食材や調理例を挙げ、簡単な秋の薬膳レシピを紹介しました。また、生活養生についても話をしました。

秋の養生は、次の季節、寒さの厳しい冬への身体作りにもつながります。身体の声に耳を傾け、食材の力、薬膳の知恵で健やかに過ごしましょう。日常の食事こそが良薬です。